2022年11月28日月曜日

【レポート】2022年OBチーム全国大会参戦の奇跡(全国大会編)

東京都市大学付属中高自動車部OBチームが今年度結成され、無事全国大会に参戦することができました。

この場をお借りしまして、今回のOBチームの結成・参戦にあたってサポートいただきましたすべての皆さまに御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

我々の活動について、この現役の部ログをお借りしてお伝えしたいと思います。

今回は全国大会編についてです。全国大会編のみ、OBの高校58期K先輩にご寄稿いただきました!

<2022OBチームレポートまとめ>

チーム結成編
車両作成編
試走会編
全国大会編【⇐本記事です】

高校58期Kです。OBチームの広報をつとめました。ひょんなことから全国大会について綴ることとなり…、体系だってはいませんが印象的だったシーンと私の感想を記載します。しばしお付き合い下さい。

本編は続きを読むからどうぞ。

                                                                                                                                                               




なぜか忘れられない光景がある。

茂木の山間のコンビニで缶コーヒーを買って、夕暮れの道をキャラバンが東京に向かう。銘柄まで覚えている。「GEORGIA ご褒美ブレイク」夕暮れのイラストがプリントされていて、少し甘かった。時々あの味を思い出す。

その日は私の卒業試合。設計したAYAKAという車体の公式戦デビュー。予行練習で横転して溶接まではずれた。夜通し修理、大会当日はなんとか走りきった。

記録を確認する。2009年10月11日(日)エコラン全国大会。




それから13年経った2022年6月18日(土)もてぎ大会。後輩の高校60期Uから連絡をもらって、一人自動車部の現役生を応援に行った。結果は散々だった。終わり際のミーティングで中学ドライバーのKが言った。「あと3ヶ月しかない。」空気が引き締まった気がした。次は勝てる。なぜか強くそう思った。

それと前後してOBチームの活動がはじまる。活動の経緯はUがこれまでのブログで書いた通り。我々にも「3ヶ月しかない。」私がやったのは大きな方針を決めたこととスケジュールのたたき台を作って進捗を聞いていただけで、OBチームでは若手にあたる20代前半のメンバーが実働した。

これだけは何度も言った。「チーム力を大事にしたい。」「正しいことを正しいと言い合えるチームにしたい。」

エコランの主人公は勿論「マシン」だ。だから優れたマシンを作ることを第一優先で進める。でも私が現役時代からマシンと同じくらい大事だと思っているのは「チーム力」だ。特に半日で勝敗が決まってしまう大会においては皆で同じ方向を向いて意見を出し合い最善の策を練らねばならない。だから声を掛け合い助け合う。それが私の理想だ。そんなチームに少しは近づいただろうか。貢献できただろうか。それともしつこかった?それは皆さんが判断する。

少なくとも、私はメンバーから沢山の意見をもらえたと思っている。遠慮のない議論でミーティングは白熱した。それも一度や二度ではない。ロジカルで美しい意見、尖っていて本題に直結する意見、右斜め下からアイデアを広げていく意見。どれもが刺激的で、私自身本気になれた。




茂木に話を戻そう。2022年10月1日(土)2日(日)エコラン全国大会。結論から言うと、また忘れられない思い出になった。

ご存知の方も多いかもしれないが、結果は下記の通りだ。


中学: 912.704km/l(クラス優勝)

高校:763.425km/l(クラス15位)

OB:1023.842km/l(クラス17位)


OBチームの当初掲げた目標は1000km/lだった。だからすんなり目標を達成してしまったことになる。けれど、正直目標に根拠があったわけではないし、いまだになぜ上手くいったのかは分析中だ。大会後、結果に酔っていた私に高校63期のAは言った。「なぜこの結果になったのか、セットダウンして分析する必要がある。」ハッとした。こんな意見にチームは支えられている。あるいは、この結果は現役時代に卒業試合がコロナで中止になってしまった高校69期の二人によるところが大きいのではないかと思う。最後まで粘り強くギヤと軸を切削したOBチームリーダーK.S。しっかり走行計画を立てて実行したドライバーK.T。話を聞けば聞くほど二人の想いに胸が熱くなった。


OBチーム決勝走行の車載映像です。


ところでK.Tが中学ドライバーとして5年前にTCU自動車部に優勝をもたらしたのもAYAKAと聞いた。それに、過去AYAKAがもたらした結果の一つ一つを今回のチームメンバーから知ることとなった。設計しておきながら、それまで無頓着だったことを恥じると共に単純に嬉しかった。

AYAKAの製作は決して安産ではなかった。当時の私は私なりに自分の壁を越える必要があったのだと思う。車は一人では作れない、仲間を信頼する、チームで力を合わせる、そういったことはみんなAYAKAの製作を通して教わった。あの時、私の価値観や生き方は変わったと思う。その集大成が冒頭2009年の光景に繋がる。

さらに忘れられない光景は更新されていく。現役生の活躍だ。

一つは高校チームスタート前の光景。中間軸の不調から、待機エリアで調整を繰り返す。なかなか上手くいかない。係の人達が痺れをきらしている。でもK.Sのヘルプや高一のN、コーチのKがドライバーで高校部長のUに最後まで付き添ってスタートに繋げた。待機エリア外でハラハラしながら私は見ていたけれど、「高校クラスの最後の最後になんとかスタートできた」とアナウンスを聞いた時、目頭が熱くなった。Uに走りきって欲しかったのだ。

もう一つは中学チームの表彰式。表彰を終えカメラ撮影に移ろうとした時、OBチームの高校64期Mがピット上から「おめでとう」と叫んだ。一瞬時が止まった。そして自然と拍手が湧き上がった。進行役のスタッフにとっては番狂わせだったかもしれないけれど、この瞬間は間違いなく彼らが日本で一番輝いているなと感じた。こういう瞬間があるからレースはやめられない。




かつてTCU自動車部は5年連続優勝していた時代があった。それからはコロナ禍もあり結果が出せずにいた。私も少しは長く生きてきて、そこで知ったのは人生は上手くいくことばかりではないということ。山あり谷あり。自動車部だってそうだろう。車は高度化し組織も細分化した。部員も増えている。その度毎にチームは更新されていく。

世代によっては悔しい想いをする代もある。勿論勝利は素晴らしい。でも勝てなかった悔しさは次の成功を生む。コーチKの手記を読んでまた目頭が熱くなった。「自分の代で取り戻せなかった優勝旗を今年こそは取り戻したい。」

現役生も次のステップへと駒を進めている。新たに部長に就任したWの自信は頼もしいし、マネージャーのAが「もっともっと学んでチームに貢献したい」とメッセージをくれた時も、この世には人を動かす言葉が確かにあると思った。

今回紹介したメンバーだけではない。

TCU自動車部という舞台には多くの想いが溢れている。取り上げたいエピソードが山ほどある。今自信が持てないメンバーがいたとしても、大丈夫。ふとした瞬間にここで生きた経験が蘇る。君の手足を強く強く動かしてくれる時が来る。そう信じている。




様々な光景が何度もフラッシュバックする。茂木という場所を介してラップしていく。忘れられない光景の数々。それは、さながら映画のワンシーンのように、私にとって一種の「奇跡」だ。しかし、それは偶然の結果だろうか。それまでのみんなの努力が身を結んだのではないだろうか。神様のご褒美?

あるいは冒頭の光景。あの時缶コーヒーに特別の感慨を持った青年が今の私達のことを想像できただろうか。今回Uや先生方、保護者のご尽力で、普通だったら再開できないような仲間ともう一度活動することができた。私は彼等から沢山の、本当に沢山のことを学んだ。感動を分かち合った。この場を借りて感謝申し上げたい。


そして、思う。楽観的だけど、強く想う。

夢や理想を持ち続けたい。

自分を仲間を信じ続けたい。

どんな困難でも乗り越えていきたい。




何世代も続くOBから現役世代へ、その想いを乗せた車はこれからも長い旅を続ける。君の失敗も、大きな夢も、全部乗っけて走っていく。





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